蚊は、吸血昆虫の代表的な虫で、どこにでも見られ、また誰でもよく知っている虫です。ただ、その生態についてはあまり知られていません。

街にいる主な蚊の種類
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ヒトスジシマカ
ヒトスジシマカ 明るいうちから吸血をする蚊で、逆に夜になると活動が止まります。
よくヤブカとも呼ばれています。背中の部分に一本の白い線があり。体長は5mmほど。
本来は雑木林や竹ヤブなどに棲息していたのですが、現在はやぶ・墓地・公園・人家などにも棲息し雨水マス、小さな水たまりなどどこにでも産卵します。
攻撃型のイエカと違い、発生源周辺で獲物を待ち構えます。一度に飛べる距離は通常15〜50メートルで、人や動物が来ると近寄って刺します。
卵の状態で越冬します。
アカイエカ
アカイエカ 住宅地に多く、夜間に吸血する蚊の代表。胸部が淡赤褐色で体長約5,5mmほど。日本全土に分布している。雨水マス、側溝、防火用水、水たまり、竹株などに産卵します。活動時間は主に夜(日没)から日の出まで、屋内で人を刺します。
近くに獲物がないと、1キロ近くも飛んできて刺すという攻撃型です。発生源は、ドブや下水溝などの汚水で幼虫が発生し、成虫で越冬します。
チカイエカ
チカイエカ 都心で最近増えています。主に都心のビル街で問題になっています。アカイエカに非常に似ています
水洗トイレの浄化槽やビルの地下の溜まり水、地下鉄の線路際の溝、雨水マスなどに発生する都市型の蚊。低温に強く秋になっても休眠しないで冬場も活動するヤッカイな蚊。一回目の産卵は吸血を行わなくても可能です。住環境の変化とともに、増加が予想されているのがチカイエカです。
成虫で越冬します。

イエカ類の成虫は下水道のような温度変化の少なく暖かい暗所に潜んで冬越します。
蚊の一生
【蚊の一生】
 蚊は、成虫と幼虫の住む場所が、まったく異なります。
 蚊の幼虫(ボウフラ)は、水の中で暮らしています。卵から成虫に羽化するまで、水の中での生活が続きます。
 その生息場所もさまざまで下水溝・雨水マス・空き缶・古タイヤ・竹の切株・墓地の花立など水が溜まる場所は、すべて蚊の発生源となります。
 また、羽化した成虫は木陰などに潜み、産卵するために雌の蚊が吸血します。
なお雄の蚊は吸血しません。
 雄・雌ともふだんは花の蜜、果物の汁、樹液などが“食物”ですが、雌は産卵のために吸血します。
 蚊が1回に吸うことのできる血の量は、ほぼ自分の体重と同じくらい。…ということは、体重が約2倍になるので、血を吸ったあとの蚊は動きが少しにぶくなります。
 タップリ吸血するとそれを消化吸収して卵巣を発達させ、4〜5日後に300粒あまりの卵を産み落とすのです。卵は2〜5日で幼虫(ボーフラ)となり、それから7〜10日で4回脱皮してサナギ(オニボーフラ)になり、さらに3日ほどで成虫に。つまり2週間あまりでまた新しい吸血鬼が続々誕生するのです。
 蚊はボウフラからサナギになっても泳ぎます。この季節の蚊の一生は、卵から成虫になるまでに10日です。成虫になるとおよそ一ヶ月間生きますので、平均して4〜5回血を吸って卵を産みます。
産卵場所には必ず雨水のたまる所が選ばれ、その卵は乾燥にも強いので、どんな小さな水源であっても周期的に水のたまる所なら確実に育つのです。
特に天敵のいない雨水マスの中では。

【蚊の人への近づきかた】
 蚊はどうやって人間が近くにいることを知るのか御存知でしょうか?一般的には呼吸によって排出される二酸化炭素がよく知られているが、それだけではないのだ。例えば、筋肉で糖からつくられ汗とともに皮膚表面に分泌されるLー乳酸という物質があり、この分泌量が蚊に刺されやすいかどうかの個人差の一因となっている。 また赤血球に含まれる5'-アデニル酸やアデノシン3リン酸という物質は、蚊の吸血を刺激するらしい。 あるいは、特に女性の場合、ホルモンの分泌周期なども関係してくるらしい。もっと面白い実験結果に、血液型による刺されやすさというのがある。A、B、O、ABの血液型のうち、O型の人が最も蚊に好まれるという結果が報告されている。

【蚊にさされるとなぜ痒いのか】
 蚊は血を吸うときに、人の皮膚感覚を麻痺させるために唾液を注入します。この唾液がアレルギー反応を引き起こし、かゆみとなるのです。蚊の困った点は、病原ウイルスや病原虫なども唾液と一緒に送り込んでしまうことです。

【恐ろしい蚊による伝染病】
1 マラリア
 アフリカ、南アメリカ、南〜東南アジア等を中心とした亜熱帯や熱帯地域の主として辺地で現在も大流行をしています。感染者は年間約3億人、死者は150〜300万人で、そのおよそ95%がサハラ砂漠より南のアフリカで発生しています。しかし、近年ではアメリカ、韓国といった国でも温暖化により増加しています。マラリア症例は、米国だけでも年間1000から1200件が報告されており、日本でも年間百数十例に上るとされる。熱帯熱マラリアとは性格が違い、死亡することはない三日熱マラリアは、韓国で爆発的に増えており、91年にはわずか1件だったのが、98年には3932件を数えている。
  • 媒介蚊:ハマダラカ(主に日暮から夜明け直後までの夜間に人を刺します)
  • 潜伏期間:熱帯型は8〜25日、三日熱型は8〜27日、4日熱型は15〜30日、卵型は9〜17日とされています。一部では数ヶ月後に発病する場合もあります。
  • 症状:悪寒、戦慄と共に高熱が4〜5時間続き、頭痛、嘔吐、関節痛をともないます。熱発作は三日熱型や卵型では48時間、四日熱型では72時間で起こりますが、熱帯型は明確な周期性を持っていません。特に、熱帯熱マラリアは命に関わることも少なくないので、注意が必要です。

2 デング熱
 東南アジアや中・南米、それに、アフリカなどの熱帯地域に常在していますが、ここ数年世界的に発生数が激増し、昨年のWHOの推計では全世界で年間50万人以上の患者が発生しているとされています。媒介する蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ)は、シンガポールなど衛生状態の良い都市部でも流行し、日本人旅行者が感染する機会もマラリアよりはずっと高いと考えられます。また、感染してもかなりの割合で症状が出ない不顕性感染で終わるとされていますが、どの程度の率かはよくわかっていません。発症すると手や足の皮疹、高熱、関節痛、目の奥の痛み等が出ますが、一部(3〜5%)では出血傾向を主症状とする重症なデング出血熱となり、さらにデングショック症候群という重篤な症状に進む場合もあります。出血熱となった人の致死率は数%とされています。
  • 媒介蚊:ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ。感染者→媒介蚊→ヒトという感染環を形成します。
  • 潜伏期間:3〜15日
  • 症状:通常5〜6日の潜伏期の後、突然の発熱ではじまり、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹をともないます。デング出血熱になると出血傾向が強くなり、さらに重くなると頻脈、脈圧低下などの循環障害がみられ、ショック症状に陥ります。
    (デング出血熱:デング熱の中でも出血傾向を伴う重症疾患。死亡率が10%と高く、治療が遅れれば40〜50%が死亡するといわれています。)

3 日本脳炎
南アジア〜東南アジアを経て東アジアへ至るアジアモンスーン地帯に広く分布しています。流行は先ずブタの間でウイルス感染が拡がり、媒介蚊がブタを吸血し、再度ヒトを刺すことによってヒトの間に流行がみられるようになります。WHOの推計によると毎年世界で、約43、000人が発症し、このうち11、000人が死亡し、9、000人は回復しても重篤な後遺症を残す。アジア各国では患者の多く(85%)は15歳以下の小児、学童であるが、日本では近年、高齢者に多い。日本では1966年以後、患者数は激減し近年では数十人以下の低流行状態を維持している。
  • 媒介蚊:主にコガタアカイエカ。日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖し、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播します(ブタ→蚊→ブタ)。一方ヒトは、ブタからウイルス感染した蚊に刺されて感染します。ブタ→蚊→ヒトという感染環を形成します。。ヒトからヒトへの直接感染はありません。
  • 潜伏期間:3〜15日
  • 症状:通常5〜15日の潜伏期間の後、頭痛、発熱ではじまり、頭痛、嘔気、嘔吐がみられ、次いで、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の緊張性抵抗などが現れます。
    発熱は7〜10日間続き、発病後7日前後で死亡することが多くみられます。患者の10%から25%が死亡し、20%から40%に精神障害や運動障害などの後遺症がみられ、完全に治癒するのは30%程度です。

4 西ナイルウイルス
 アフリカ、ヨーロッパ、中東に分布していましたが、1999年以降北米にも発生がみられるようになりました。ウイルスは鳥と蚊の間で感染環が維持され、蚊を介してヒト、ウマに感染します。ウイルスに感染した蚊に刺されたとしても、多くは不顕性感染の形をとり、重い症状が出現するのは1%未満とされています。北米では2002年には患者は2000人を越え、死者も100人以上となっています。ロシアが1999年、イタリアが1997年に発生している。
  • 媒介蚊:熱帯イエカ、ヤブカ(イエカは夜間に、ヤブカは昼間に活動します)媒介蚊→トリ→媒介蚊→ヒトという感染環を形成します。
    最新の報告では輸血による感染と推定されるもの4例、臓器移植により感染した可能性のある者5例、このほかに母乳により感染した可能性のある新生児があり、ヒト→ヒトという感染環を形成することが分かりました。
  • 潜伏期:3〜15日
  • 症状:通常型は急激な発熱、頭痛、背部痛、めまい、発汗、時に猩紅熱様発疹(約半数の症例に認められる)、リンパ腫大などです。一般的には3〜7日で解熱し、短期間で回復します。脳炎型は頭痛、高熱、頸部硬直、感覚障害、昏睡、戦慄、麻痺など重篤な症状が現れ、高齢者に多く、死亡率は3〜15%とされています。

【蚊による皮膚障害】
蚊アレルギー(蚊刺症、蚊刺過敏症)
 蚊が刺すのは夏と思われがちですが、近年チカイエカという寒冷に強い蚊の数が増えており、冬の北海道で蚊にさされるということが不思議ではなくなってきまし た。蚊に刺されると赤く腫れますがその腫れる程度は一人一人の体質によります。
ほんの米粒程度にふくれて数時間で消えてしまう人や、直径30セ ンチにも腫れ上がる人もいます。
 その体質は一生変わらないわけではなく、乳児では腫れにくく、幼児から小学生くらいが大きく腫れやすい傾向があります。
 腫れが巨大でも、化膿しない限り大した心配はなく、適切な外用剤と内服薬等で治ります。
 蚊に刺されて一 番の問題は刺された部分だけでなく全身に発赤や蕁麻疹ができる場合、すなわち蚊アレルギーです。死者が出る場合もあります。
 蚊アレルギーの方は皮膚科などでアレルギー検査や適切な指導を受ける必要がありなす。それとは別に、刺された所が5ミリくらいの塊となり治るまで何ヶ月も激痒に悩まされるという疾患(結節性痒疹)があります。

下記で詳しく書かれています。
害虫防除技術研究所 「蚊アレルギーに関する最近の情報とこれまでの報告例」
「蚊」の掲示板     蚊アレルギーについて多数報告されています。